プロジェクト・プロジェクトマネジメント 学び舎 プロジェクト・
プロジェクトマネジメント 学び舎

3.PMBOKガイドの詳細 / 3-3.PMBOK v7の12の原則 / 3-3-2.各原則の実務への適用例

---

　それぞれの原則がどのように実務で適用されるか、簡単に紹介します。

1.スチュワードシップ

原則: 勤勉で、敬意を払い、面倒見の良いスチュワードであること。誠実さを保ち、責任をもって行動する。

適用例:

• プロジェクトの倫理規範を定め、チーム全員が遵守するようにリーダーシップを発揮する。
• クライアントや関係者に対して、透明性のある報告を行い、不正や隠蔽を防ぐ。

2.チーム

原則: 協働的なプロジェクト・チーム環境を構築する。

適用例:

• 異なる専門分野のメンバーが協力しやすいように、オープンなコミュニケーションの場を設ける。
• チームビルディングの活動を定期的に実施し、信頼関係を深める。

3.ステークホルダー

原則: ステークホルダーと効果的にかかわること。

適用例:

• プロジェクト初期段階でステークホルダー分析を行い、影響力の大きい関係者を特定する。
• 定期的な報告会を開催し、ステークホルダーの意見を取り入れながらプロジェクトを進める。

4.価値

原則: 価値に焦点を当てること。

適用例:

• プロジェクトの目的と成果物が事業目標と一致しているかを定期的に見直す。
• 優先度の低い作業を削減し、価値の高い活動にリソースを集中させる。

5.システム思考

原則: システムの相互作業を認識し、評価し、対応すること。

適用例:

• 部署間の連携を強化し、サイロ化（部門ごとの孤立）を防ぐ。
• 環境変化や新技術の影響を考慮し、プロジェクト計画を柔軟に見直す。

6.リーダーシップ

原則: リーダーシップを示すこと。

適用例:

• プロジェクトの目的やビジョンを明確にし、チームを鼓舞する。
• 困難な状況でも冷静に判断し、チームの士気を維持する。

7.テーラリング

原則: 状況に基づいてテーラリングすること。

適用例:

• 小規模プロジェクトでは、軽量なプロジェクト管理手法を選択し、適切に調整する。
• 規模やリスクに応じて、プロセスの簡素化または強化を行う。

8.品質

原則: プロセスと成果物に品質を組み込むこと。

適用例:

• 品質管理計画を策定し、プロジェクトの各フェーズで品質チェックを行う。
• 品質向上のため、フィードバックループを確立し、継続的に改善を図る。

9.複雑さ

原則: 複雑さに対処すること。

適用例:

• リスク要因が多いプロジェクトでは、段階的な計画を立て、状況に応じて調整する。
• 影響を受ける関係者が多い場合は、関係性マップを作成し、調整をスムーズにする。

10.リスク

原則: リスク対応を最適化する。

適用例:

• 初期段階でリスクを洗い出し、回避・軽減・転嫁・受容の対応戦略を検討する。
• プロジェクト進行中もリスクをモニタリングし、新たなリスクに対応する。

11.適応力と回復力

原則: 適応力と回復力を持つこと。

適用例:

• 予期せぬ問題が発生した際に迅速に対応できるよう、代替案を準備しておく。
• 変化に柔軟に対応できるチーム文化を醸成し、継続的な学習を推進する。

12.変革

原則: 想定した将来の状態を達成するために変革できるようにすること。

適用例:

• 変革を成功させるため、関係者への意識改革とトレーニングを実施する。
• プロジェクトを通じて、新しい働き方やプロセスの定着を図る。