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3.PMBOKガイドの詳細 / 3-1.PMBOKの基本概念 / 3-1-1. PMBOKの歴史と進化
3-1-1. PMBOKの歴史と進化
PMBOK（Project Management Body of Knowledge）は、アメリカのプロジェクトマネジメント協会（PMI：Project Management Institute）が発行する、プロジェクトマネジメントの標準的なガイドです。PMIは1969年に設立され、プロジェクトマネジメントの普及と専門性向上を目的に活動を続けています。PMBOKガイドは、1987年にホワイトペーパーとして公開され、1996年に初版が発行されました。以来、プロジェクトの成功率を高めるための知識とベストプラクティスを体系化し、幅広い業界で採用されています。
初期のバージョン (PMBOK v1, v2)
1996年に発行された第1版（v1）は、プロジェクトマネジメントの基本的なフレームワークを提示し、広く業界で採用されました。第2版（v2）は2000年にリリースされ、プロジェクトの成功に重要な知識エリアやプロセスをより詳細に定義しました。特に、計画や実行の標準化が進み、建設業やIT業界での実践例が増加しました。
大きな進化 (PMBOK v3, v4)
2004年にリリースされた第3版（v3）では、大きな区分として「プロセス群」と「知識エリア」を明確に区分し、プロジェクト全体を体系的に理解できるようにしました。この変更により、計画、実行、監視などのプロセスがさらに整理され、幅広いプロジェクトでの適用が可能になりました。
2008年の第4版（v4）では、プロジェクトマネジメントツールや技法が具体的に紹介されるようになり、プロジェクトマネージャーが実務で利用しやすい内容が加わりました。
進化するプロジェクトの複雑性への対応 (PMBOK v5, v6)
2013年に発行された第5版（v5）は、ステークホルダーマネジメントを新たな知識エリアとして追加しました。これにより、プロジェクト成功における利害関係者の重要性が強調され、チーム内外でのコミュニケーションが重視されるようになりました。
2017年の第6版（v6）では、アジャイル型プロジェクトへの配慮が盛り込まれました。特に、アジャイル手法と従来のウォーターフォール型手法を統合的に活用する考え方が提案されましたが、依然としてプロセスベースの構造を維持していました。
大きな転換点 (PMBOK v7)
2021年にリリースされた第7版（v7）は、それまでのバージョンとは大きく異なる構造を採用しました。従来のプロセスベースのアプローチから脱却し、プロジェクトマネジメントを12の原則と8つのパフォーマンスドメインに基づいて構成しました。この変化は、柔軟性を重視し、急速に変化するビジネス環境やプロジェクトの多様性に対応するためのものでした。v7は、特定の業界やプロジェクトタイプに縛られない適用性を持つ新しいガイドとして注目されています。
