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1.プロジェクトマネジメントの基本 / 1-5.リスク管理の基本 / 1-5-2.リスク分析と評価の方法
1-5-2.リスク分析と評価の方法
リスク管理では、リスクを特定した後、どのようにそれを分析し評価するかが非常に重要です。リスク分析と評価は、プロジェクトにおける潜在的な問題を早期に発見し、対応策を講じるためのプロセスです。以下の手法を使うことで、リスクを効果的に評価し、最適な対策を立てることができます。
1. リスクの影響と発生確率の評価
リスク分析では、まず「リスクの発生確率」と「リスクが発生した場合の影響」を評価します。これにより、どのリスクが最も重要であるかを明確にできます。
- 発生確率：リスクがどの程度の頻度で発生するかを予測します。これには過去のデータや専門家の意見が参考になります。
- 影響の大きさ：リスクが発生した場合、プロジェクトに与える影響の大きさを評価します。これにはコスト、スケジュール、品質への影響が含まれます。
これらの評価を数値化し、リスクの優先順位を決定します。たとえば、影響が大きいが発生確率が低いリスクや、発生確率が高いが影響が小さいリスクなど、リスクの特性に応じた対応が求められます。
2. リスクマトリックス
リスクマトリックスは、リスクの発生確率と影響の大きさを2軸に分けて可視化したものです。これにより、リスクを簡単に分類できます。例えば：
- 高確率・高影響：最も優先的に対応すべきリスク
- 高確率・低影響：対策が必要だが、比較的管理しやすいリスク
- 低確率・高影響：発生確率が低いが、発生した場合の影響が大きいため、注意深く監視する必要があるリスク
- 低確率・低影響：最も優先度が低いリスク
このように、リスクを視覚的に整理することで、プロジェクトマネージャーはリスクに対して効率的に対応できます。
3. 定性的および定量的な分析
リスク分析には、定性的分析と定量的分析の2種類があります。
- 定性的分析：リスクの影響や発生確率を評価する際に、数値ではなく言葉や経験に基づいてリスクを評価します。例えば、「低」「中」「高」といった評価軸でリスクを分類します。
- 定量的分析：リスクの影響を具体的な数値（コスト、時間など）で評価します。これは、予算やスケジュールに対する具体的な影響を分析する場合に有効で、数値的根拠に基づいて意思決定を行います。
補足：
分析手法のひとつにSWOT分析というものがあります。一般的に経営戦略の検討に使われることが多いのですが、リスク評価で使うこともできます。プロジェクトにおける強み（Strength）、弱み（Weakness）、機会（Opportunity）、脅威（Threat）を整理し、リスクを包括的に分析する方法です。リスクとして認識される脅威を特定し、それに対してどう向き合うかを考えることができます。
また、リスク分析の際には、プロジェクトに関連する専門家や関係者の意見（エキスパート・ジャッジメント）を取り入れることが重要です。これにより、リスクをより現実的に、かつ詳細に評価できます。特に予測困難なリスクや新しい技術に関するリスクについては、専門家の視点が不可欠です。
